畑の先輩
近隣の方で畑の先輩が何人かいらっしゃる。時に立ち話をして、いろいろなことを教えてもらえる。また、よくできた野菜や苗を分けていただいたり、時に栽培について相談したり、されたりする。みんな、人生の先輩でもあるような年齢の方々で、出身は奄美だとか岩手だとか、ボリビアだとか、みんな遠くから藤沢へ来て根付いた人たちだ。みんな往々にしてよく笑い、気さくに話し、惜しみなく皆に分けて、自分は慎ましく暮らしている。
畑を通じたコミュニケーションはとても豊かだなと思う。先日、岩手出身の先輩と白菜の漬物の話になり、「この時期はもう流石に寒いから、畑に置かずに全部収穫してしまって畑の納屋に入れているけど、全傷まないよ」、「浅漬けを作るときは、一度にタライにいっぱい作るけど、すぐになくなっちゃうよ、みんな分けちゃうから」、「ゆずととうがらしと柿を干した皮、ざらめと漬ける、うんまいんだ」こんな調子である。とてもイキイキして話されるので、自分もついやってみたいと思ってしまう。
奄美出身の大先輩は、我が家の子供達も孫のように可愛がってくれて、私たちの野菜作りも自分ごとにように心配し、喜んでくれる。今出荷している菊芋やヤーコンの苗はみんなこの大先輩に頂いたものを、私たちの畑に植えて増えたものだ。「いっぱい作って売りなさい!」「子ども達がいるでしょう。」といつも気遣ってくださる。私たちのやり方を尊重してくださり、草のことなども理解してくれて、時には私たちの知らない間に他の生産者に私たちのやり方をよく紹介してくれたりしてくれる。今の農地の紹介の一部もこの大先輩のおかげ。私たちが今あるのはこの大先輩のおかげだと言っても過言ではないほどだ。
畑のコミュニケーションは、あれが美味しいよねとか、今年多めに作付けしたから今から楽しみだとか、これはうまくいったよとか、あれは全然だめだったとか、自然と話の中で共有していることが自分たちにも当てはまってどれをとってもおもしろい。
この大先輩達がいつまでも元気で畑をやっていてくれたらいいなと思う。同時に、自分もこんな風に歳をとれるかな、このように歳を取りたいなと思う。
写真はカブ、シンクイ虫のおかげか、11月、12月と全くできなかったけど、10月末に蒔いたものがビニールトンネル、不織布で今ようやく取れ始めました。とても嬉しい。
2024/1/17 Kosuke Kumaoka