B品を出荷することについて

 毎週火曜日に、茅ヶ崎のマイクラウンさんにお野菜を出荷しています。その中には、規格外の野菜たちも一緒に持って行き、低価格で卸して売っていただくということもあります。

 B品とは、例えば、大根で言えば、少し割れている部分や虫が食べた小さな穴が空いている、あるいは大きく成長しなかったものなど、通常の生育と比較してマイナス面があるものを指します。

 今日、僕がマイクラウンさんの店頭に野菜を納品している時に、買い物中のあるご婦人が「この前の大根ある?」と聞いておられ、持ってきたばかりのうちのB品大根を嬉しそうに買っていかれました。その時に<お客さん>「大根はこれからもまだまだきますか?」<僕>「今日で一時終わっちゃって、秋冬作になっちゃうんですよね」<お客さん>「えー残念、割れていても美味しいし、買いたいのよ。トマトとかも美味しかったし、また宜しくね」<僕>「ありがとうございます、がんばります」、、みたいなやりとりがありました。

 B品を納品するということについて、初めは少し抵抗がありました。全て自信を持って出せるものを納品して、お客さんに満足してもらいたいという思いがあったからです。しかし、全てが自分が納得できるものや味になることは当然ないという事実があります。大根は、今年の春作は、大雨や突然の高温などで割れてしまうものが多かったのです。自分の栽培技術が足りないことはありますが、やっぱり露地野菜で有機栽培だと、不確定要素が多すぎて、わからないことも、うまくいかないこともたくさんある。結果、味はそこそこ良いけど、見た目がわるいとか、全体は食べられないけど一部を切り落とせば食べられるというものも出てきます。それとどう向き合っていくかを考えていました。僕はフードロスの観点で「困っている農家さんを助けて」とか、「地域のフードロス削減を」みたいな考え方もわからなくないですが、あまり好きではありません。それが、どこか「無駄になってしまうのであれば・・」という、野菜それ自体を積極的に捉えるものではなく、どうせ捨てるなら、なくしていこうとする感覚になるからかもしれません。

 しかし、今回店頭でのお客さんとのやり取りで、思ったのですが、お客さんは積極的だということでした。むしろ、有機野菜を安く買いたいというような姿勢と「ごきげんやさい」を楽しみにしてくださっているという印象を受けました。B品と言って価格を下げても、野菜の価値は下がらない。そのことをお客さんは、よく知って良いものだと感じてくださったということです。

もちろん、勉強を続けて納得できる水準のものの割合を増やし続けるという努力は怠ってはならないと思います。そのことは大前提として、できてしまったB品をどうするかというのは、また生産者の考え方次第。僕は今回、B品野菜を美味しいと感じてわざわざ求めにきてくれる人がいたり、それにより自分たちの野菜の味のファンになってくれたりする人がいることを学びました。また、栽培について自分の今ある位置を確認したり、より精度が上がる方法を模索したりするのにも前向きな要素になるということを発見できた気がしています。

 ちなみに、僕らの食卓はいつもB品野菜、B品と言っても、みんな同じく太陽の元でゆっくり育ち、丁寧に扱われた野菜たちです。「食べたい」と思うかどうか、「美味しそうだな」と思えるかどうか、すごい個人的な感情ですが、それが基準になっています。

2024/7/2 Kosuke Kumaoka

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