この農業は成り立っているのか。
最近、近所の電気店で中学時代にお世話になった先生に再会して、少し会話をすることがありました。「近くで小さな農業をしています」といった話から、「それで成り立つのか」という質問を受けました。それに留まらず、昔の友人や先生に会う機会がなぜか増えたのですが、その度に「それで成り立つのか」という質問を受けることになり、その裏にはどうしても「それでは成り立たんでしょ?」という暗黙の了解があるような気がして(相手に悪気はないと思うのですが)しまったのです。どうやら常識的に小さな農業では食べられないということになっているかのようです。
確かに僕自身もこの農業だけでは成り立たず、福祉のバイトの収入を合わせてやっとの生活ですが、質問に対する僕の答えがもっと正確で、相手に対しても誤解のないようなものでありたいとも思いました。それに、世間一般と比較してみても成り立っている師匠も見てきましたので。
どう答えれば良いか自分なりに考えてみました。
2024年の40代サラリーマンの平均年収は、約519万円。パーソルキャリア
詳細:
- 20代の平均年収は360万円、30代は451万円、50代以上は607万円.
- 40代の平均年収は、前年よりも8万円上昇.
- 40代男性の平均年収は601万円、40代女性の平均年収は420万円.
- 職種分類では、専門職(コンサルティングファームなど)が712万円、IT/通信が634万円と高め.
- 年収分布では、300万円~600万円未満に56.3%の人が含まれる.
ちなみに、日本の平均年収は、国税庁の統計調査によって算出され、一般的に460万円程度とされています。
平均年収は、男性は481万円、女性は366万円との結果に対し、男性の年収中央値は420万円、女性の年収中央値は340万円。
また男女を合計した全世代の年収中央値は380万円です。さらに年代ごとでも中央値は異なり、それぞれ20代が345万円、30代が400万円、40代が450万円、50代以上が500万円となっています。
また、1000万円以下の手取り額は平均的に年収の75~85%であることが多いので、仮に80%を基準とすると、全世代の年収中央値380万円の平均的な手取り額は304万円となります。
(yahoo news参照 記事 「日本の平均年収は423万円だけど、実際「中央値」はどれくらい?手取りをもとに生活レベルについても解説」より)
実際、僕たちの農業だけでの収入や手取り額は、、、おそらく2025年このまま見通しでいくと、
収入180万円~200万円、手取り額140~160万円となる見込みです。これは、中央値で見た手取り額の約半分ですね。これだけ見ると全然成り立っていないか‥。これだけ貧乏暇なしなのに(笑)
僕は他に福祉のバイトをしていて、そちらの収入は年間およそ120~130万円、これらは大きな税金はかからず全て手取りになるため、トータルの収入は約300~330万円、手取りは260~280万円という計算になります。
子供が2人で、家族4人ですので十分ではないにせよ、なんとかギリギリやっているという状況です。
これを、僕自身がどのように捉えているかというと、簡単に言えばとても前向きに捉えています。
それにはいくつか理由があります。
まず、ストレスがない(借金がない、自分の仕事量を自分で決められる、家族との時間を持てる)、収入が上がっていく見通しが立っている、探究心向上心が尽きない、などなど僕にとって前向きな要素が多いです。
僕の場合バイトでもなんでも、組織に属して仕事をするということ自体がストレスだということが最近になってわかってきました。きっと性格上黙っていられないので、よほど恵まれた組織でないといろいろ摩擦が大きくなってしまうのです。その点組織ではなく、自分の裁量で仕事の量やスタイルを自由に変化させることができる今の農業にはとても魅力を感じています。頼るのが自分の身体であって、借金も補助金にも手を出していないというシンプルさにも大きな魅力を感じています。僕のようなかなり小規模な農業では、大きな補助金や借金をしなければ成り立たないという心配もありませんし、災害や大きな不作のリスクも大規模農業に比べて格段に低いです。
家族との時間が増えたこともとても良かったです。サラリーマン時代から比べると、決められた休日なるものがない分、連休で遠くに行く、長期旅行をするなどは考えられなくなりましたが、毎夕食を共にでき、子どもと少し会話をしたり、家事をしたりという時間は、僕だけでなく家族にとっても良かったようです。
もちろん金銭的に、物質的に妻や子供に我慢させなければならないことも、他の家庭から比べたらとても多い(なかなか新書が買えず、図書館をヘビーに使っている、子ども部屋が用意できない、持ち家が買えないなどなど)と思いますが、子どもたちは今のところとても健やかに育ってくれていると感じます。これから教育費がかさみますが、子どもに必要な時間は僕との時間ではなくなってくるので、その時にはまた作付量を増やしたり、出荷先を探したりすれば良いと思っています。
心配もないわけではありません。それは、自分の身体や体力のこと。もう42歳ですから、昔のように徹夜で踊りまくるということもできなくなりました(笑)。笑い事ではなく、農業は身体が資本、特に僕のようにスマートでなく、汗水たらしまくる農業の場合は、自分の身体が動かなくなれば全てがストップします。本当に恐ろしくて考えられませんが、先日肩と首の激痛で2、3日寝て過ごす日々になった時に、このまま痛みが取れずに手が動かせないなら、農業は続けられないし、新しい仕事なども見つかりそうにないななどと、不安の連鎖に陥りました。とりあえず妻でも広範囲の草が刈れるようにスパイダーモアを購入したのでした。今回は身体が動かなくなって、機械に頼っても農業を維持する選択をした訳ですが、これが50代、60代になってあまり蓄えもなく、回復の見込みもないとしたら、どのような選択をするか、これはそれまでに蓄えた経験や技術、貯蓄、築いた人脈などで様々な方向に変わるでしょうから、今から想像してもしょうがないのですが。しかし、一歩先に動けなくなることを考えながら農業するというのはとても大切だと思いました。
本題からだいぶ外れましたが、
僕の結論は、成り立つか、成り立たないかはやってみないとわからないし、今僕はなんとかやれていて、今の生活に納得し前向きであるということが大事かと。
加えて、世間での「成り立つ」とは一体なんだろうかと、モヤモヤ考えてしまいました。平均収入以上でものすごく自由に暮らしている人、平均収入以上でもう続けられないと思っている人、最低収入だから次の仕事を考えている人、僕みたいに最低収入だけど前を見ている人、そのどれもが安定した状態なんてないのだから、「成り立つ」=安定、充分ということであるなら、それ自体僕には縁のないことに思えてきました。
というこで、今度「お前それで成り立っているのか?」という質問には、「ギリギリやっていて、元気に前を向いているよ」ということにしようかなぁ。あれ!?
これだけ考えたのに全く答えが変わらないというオチでした( ; ; )。
写真はジャガイモ(キタアカリ)試しに掘りましたが、すこぶる調子が悪く、小粒だらけです、
葉っぱも枯れて果てて。このような原因がわからない不作はやはり不安。いろいろ調べます。


2025/6/3 Kosuke Kumaoka