踏込み温床づくり

 踏込み温床、有機農業をやられている方には馴染みがある方もいらっしゃるかもしれませんが、
有機物と微生物の発酵熱を利用した野菜苗作りです。これについて少しお話ししていきたいと思います。

 以下の写真のようなものです↓

使用している資材:

・落ち葉(コンテナ70〜80杯分)
・米糠(バケツ2杯程度)
・水 300〜400ℓ
(外枠は木製の板と鉄パイプでできています。枠の大きさは幅90cm✖️長さ4m✖️高さ45cm)

 2024年は、1/24に全ての資材を投入し終えました。今は発酵熱が上がってくるのを待っています。うまく発酵すれば熱は50〜60°ぐらいになり、それから35°前後に温度が落ち着く予定です。それから、野菜の苗をポットやトレーに入れて、温床の上に置いていきます。

手順:

①落ち葉コンテナ8杯ぐらいをまんべんなく枠の中に入れる
②米糠を落ち葉の上に振る
③足で踏み込む
④再度米糠を振る
⑤全体に水をかける

 ①〜⑤の工程を幾度も繰り返して、何層も作っていき枠がいっぱいになるまで行う。という感じです。
米糠や水の量や踏み込む度合いは農家さんによって少しずつ違っていますが、利用する資材や場所、気候などでも変化すると思います。

 なぜ、このような面倒な作業をしているかというと、1、2月の厳冬期に春夏の野菜の苗を育てるには、温度と時間が必要になることと、落ち葉が一年後には分解されて腐葉土になり、それを苗床(育苗の土)に利用できるからという2点のメリットがあります。

↓一年後分解された腐葉土


 その他にも単純に、私たちがこの作業が好きであり、五感を満たされるからというのも大きな理由かもしれません。米糠と落ち葉が発酵していく温度や香り、目に見えない微生物が爆発的に働き死んでいくことを想像するのは、なんとも言えない感覚です。

 使う有機資材は地域によっていろいろで、稲藁や籾殻、鶏糞、牛糞などを使用される方もいらっしゃいますが、私たちが使うのは、地域で簡単に手に入り購入せずとも手に入る資材です。落ち葉は近所の林に、米糠は毎日の精米時に糠を取っておくのと、近所のコイン精米所に分けていただいています。結構な手間ですが、毎年寒空の下で、ガサガサ林に入っていき、落ち葉を集め、踏み込む行為というのもなかなか楽しく、なんとなく1月の儀式のようにも思います。森の木々や微生物が畑に栄養素を分けてくれているな(勝手な解釈ですが)という感覚も好きです。

 ただ、その場に落ちた木々の落ち葉は森の養分になるはずだったのに、一気に他の場所に連れてこられたり(一気に引越し)、いきなり分解を早められたり(他の有機物と混ぜ合わせられる)しているので、自然界の仕組みから見るとやはり人間都合で利用されているだけであるけど‥などと考えたりもします。

 いろいろな側面から考えると、いいとも悪いとも言えませんが、今のところ私たちが心地よく感じていることは大切にしたいし、小さな私たちへの贈り物だと希望的に捉えていきたいです。

 何をどれくらい蒔こうか、いろいろ思案するのも楽しいですね。

2024/1/27 Kosuke Kumaoka

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